研究概要 |
ZrCを比較的低温度、低酸素圧下で酸化すると立法晶ZrO_2 (c-ZrO_2)の生成と共に炭素が析出することから、この炭素がZrC, c-ZrO_2のどの界面で生成して、どのような結晶形、形態、組織を有するか検討した。 600℃で酸化した試料断面を背面反射電子像で観察すると、より濃いコントラストを示すゾーン1と比較的明るいコントラストを示すゾーン2とから成ることが分かった。このゾーン1、2の厚さの経時変化をみると、ゾーン1は放射線則に従って厚くなるが、ある時間が経過すると一定の厚さ(2〜3μm)になり、ゾーン2ではほぼ直線的に厚くなった。このゾーン1、2での炭素の定量分析を行うと、炭素がゾーン1では約14〜23at%、ゾーン2では7〜10at%存在することが分かった。 ZrC/ゾーン1界面を高分解能電子顕微鏡で観察すると、界面は良く密着しており、生成層の界面にはアモルファス相が生成していた。酸化層中にはポアやクラックが認められず、異なったサイズの格子縞が界面から10〜20mm程離れてモザイク状に分布していた。この格子縞はその間隔からc-ZrO_2の111、200、220面に相当することが分かった。界面を横切って350nmの距離にわたってEDX分析で求めた結果、界面付近では酸素の濃度勾配が酸化層とZrC中に存在し、ZrCの深部に向うに従って低くなり、炭素は界面近くで高い濃度を示すことが分かった。このことから、界面近くでのアモルファス層は炭素と決定した。600℃、酸素分圧1kPaで1、20時間酸化したZrC試料をフッ酸で処理した結果、c-ZrO_2が除去されたアモルファス炭素膜/ZrC複合体が生成した。この試料のラマンスペクトルから、いずれも1350cm^<-1>と1600cm^<-1>にピークを持つ幅広いスペクトルが得られた。1時間酸化した試料ではフッ酸処理前後でスペクトルに変化なく、20時間酸化のフッ酸処理した試料がより幅広いピークを示した。
|