目的:200または220面を持つ単結晶ZrCの酸化を、温度700〜1500°C、酸素分圧0.02〜2kPaで行い、ZrCと酸化スケール(ZrO_2)との間に炭素を折出させ、酸化温度、酸化分圧を変えて酸化を制御することでその微構造、形態制御を行った。 成果:酸化結晶表面のXRDの結果、正方晶または単斜晶ZrO_2の特定の結晶面の優先配向が認められた。ZrC結晶表面に生成した酸化スケールは2層構造を持ち、外側に主にZrO_2から成る層とその内側に炭素を多く含む薄い膜から成ることが分かった。この酸化スケールをHF溶液処理することによって、内側の炭素を含む層をZrCから薄膜として分離した。この炭素膜のラマン分光の結果、700〜1100°Cで得られた膜はアモルファスであることが分かり、このことは電子回折でも確認された。1300〜1500°Cで得られた膜のラマンスペクトルでは、1600cm^<-1>のピークが1580cm^<-1>へシフトする傾向を示した。1500°Cでは、1580cm^<-1>のピーク強度が増加し、その増加の割合はZrO_2側よりもZrC側の面で大きかった。また、この1500°Cの膜の電子回折パターンでは黒鉛の101と110面に相当するアークまたはリング状のものが得られたことから、この温度ではグラファイト結晶子の成長とbasal面の発達が示唆された。TEM観察からこの膜は薄幾枚かの薄膜が重なり合ったものと分かり、この膜中にナノサイズの正方晶ZrO_2微粒子が含まれていた。
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