一般にスピネル生成反応は、陽イオンに比べ酸素イオンの半径が大きいため、酸素イオンの移動が遅く、陽イオンのみの相互拡散によるWagner機構が知られている。 Al_2O_<3->ZnO系のZnAl_2O_4生成反応において、緻密なAl_2O_3を原料にしたスピネルはWagner機構により反応が進む。しかし、筆者らの研究から、微粒Al_2O_3を原料にすると、この微粒Al_2O_3充填層をZnO蒸気成分が一方向的に拡散するのが律速となり、アルミナ層内部にスピネル生成し、加熱雰囲気の酸素により反応が促進される。この反応形式を集合体反応模型と名付けた。 筆者は、本プロジェクトにおける研究により、微粒Al_2O_<3->緻密な粗粒MgO系でのMgAl_2O_4生成反応においても集合体反応模型に基づいたスピネル反応が存在し、また、MgOのモル分率0.5以下、加熱温度1250℃以上とした場合、第一段階として、はじめ反応層が微粒Al_2O_3側に向かって集合体反応により一方向的に成長、第二段階、反応時間が10hrを越えると、スピネル層と粗粒MgOの間に空隙が広がり、MgOに近い側のスピネル層が緻密化を起こす。第三段階、反応時間が 20hrを越えると、この緻密化したスピネル層から粗粒MgOとの間の空隙中でMgO側に向かってつらら状のスピネルが成長することを明らかにした。本年度の研究ではさらに、このつらら状スピネルの成長のはっせいがXmgO0.6付近の反応組成の粉体混合物のMgO結晶表面において生成する粒状スピネルが原因らしいことをつきとめ、その成長がつらら先端における成長と同様、雰囲気の酸素分圧の増加とともに促進されることを明らかにした。
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