研究概要 |
(1)2-フェニルプロピオン酸を出発原料にして、光学活性なスルホン酸である2-フェニルプロパンスルホン酸を合成した。これを用いてアミノ酸を直接光学分割することを検討した結果、トリプトファンを効率よく光学分割できることを確かめた。また、同様に2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)を出発原料にして、光学活性なスルホン酸を合成し、これを用いて光学分割の検討をおこない、分割剤の分子構造と分割能の相関性について比較検討した。 (2)酸性度と光学分割の相関性を調べるために、同じ光学活性な出発物質を用いてスルホン酸のかわりに、ホスホン酸を同様に合成した。ホスホン酸は酸性度が低いことからアミノ酸とは直接に塩を形成せず、アミノ酸の光学分割には向かないことがわかった。しかし、1-フェニル-2-p-トリルエチルアミンのような一般的なアミンの分割には有効であることがわかった。 (3)2-アミノ-1,2-ジフェニルエタノールは、有効な光学分割剤である。光学分割剤の分子構造とその光学分割能を調べるために、種々のパラ置換体を合成し、δ-デカラクトン類の光学分割について検討した。 (4)トリフルオロメチル基をベンジル位に持つ化合物合成し、光学分割をおこなうことによって新規な光学活性化合物を得た。これを用いて種々の液晶化合物を合成し、その液晶性を検討したところ、カルボニル構造を持つことなしに反強誘電性を発現する、全く新しいタイプの反強誘電性液晶を見いだした。
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