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1996 年度 実績報告書

ESRスピンラベル法を応用した分子集合体の酸化劣化の計測法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 08455413
研究種目

基盤研究(B)

研究機関東京大学

研究代表者

高橋 希之  東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (60280955)

研究分担者 野口 範子  東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (40198578)
キーワードESRスピンラベル法 / 酸化劣化 / 不均一系 / 脂質二分子膜
研究概要

ESRスピンプローグ,ドキシルニトロキシドステアリン酸誘導体(5-12-16-NS)を用いた膜酸化の追跡法の基礎を確立した.被酸化基質として,大豆ホスファチジルコリンを用いて作成したリポソーム及び培養細胞(THP-1,ともにヒト白血病由来ヒト単球用細胞),酸化開始活性種としてアゾ化合物2,2'-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride(AAPH)を用いて,膜中のスピンプローグのESRシグナル強度の変化を追跡し,以下の結果が得られた.
1.L-アスコルビン酸の投与によりリポソーム膜中のNSの消失速度は5->12->16-NSの順であり,30-40%がアスコルビン酸と反応せず残った.一方細胞膜においては減少は5->16-NSで,かつ最終的にすべてのシグナルが消失した.このことより,リポソーム膜においては内外両方の層がラベルされるのに対し,細胞膜(原形質膜)は外側の層のみがラベルされると判断できた.
2.AAPH由来のペルオキシルラジカルによる酸化においては16NSのシグナル強度はAAPHの濃度依存的に減少し,またリン脂質ヒドロペルオキシドの生成速度と正の相関がみられた.このことより,ESRシグナルの減少速度は膜酸化の指標として用いることが出来ることが明らかになった.
3.様々な活性種による細胞膜の酸化反応またはラジカル種の生成に関する応用的な知見が得られた.例えば,AAPHによる酸化において,鉄キレーターデフェロキサンは細胞死を有意に抑制したが膜中の16NSのシグナルの減少速度には影響を与えず,この細胞死が細胞内部での二次的な活性種の生成によるものであることを示唆した.
今後は脂質二分子膜の内側,外側の層に分けた過酸化の進行の計測を行う予定である.

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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