研究概要 |
電子不足パラジウム錯体、すなわちカチオン性パラジウム錯体が、含酸素化合物中の酸素原子に対して、特異的に強い配置活性化作用を及ぼすことに注目し、カルボニル化合物、一酸化炭素などの含酸素化合物の活性化を経る新反応の開発を目的として研究を行った. 1.一酸化炭素の活性化 カチオン性パラジウム錯体を触媒として、スチレン、一酸化炭素、メタノールより2-フェニルプロピオン酸メチルを室温、一酸化炭素圧20気圧という極めて温和な条件下、選択的に得ることに成功した.また,この反応を応用することにより,抗炎症剤のibuprofen,naproxenを合成することができた. 2.カルボニル化合物の活性化 カチオン性パラジウム錯体の存在下,α,β‐不飽和カルボニウム化合物は1,3‐ジエン類とヘテロDiels‐Alder反応し,6員環ジヒドロ‐2H-ピラン誘導体を高収率で与えることを見出した.またカチオン性ロジウム錯体もカルボニル化合物を活性化し、有機スズ化合物と付加反応することを見い出した。
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