研究概要 |
電子不足パラジウム錯体、すなわちカチオン性2価パラジウム錯体が、含酸素化合物中の酸素原子に対して、特異的に強い配位活性化作用を及ぼすことに注目し、アルコール類、カルボニル化合物、一酸化炭素などの含酸素化合物の活性化を経る触媒的新反応の開発を目的として研究を行った。 1. カチオン性2価パラジウム錯体を用いる反応 (1) カチオン性2価パラジウム錯体を触媒として、第三級アセチレンジアルコール、一酸化炭素から、THF溶媒中、50℃という極めて穏和な条件下、ワンポット、高収率、高選択性でホトクロミズムを示すフルギドを得ることに成功した。 (2) BINAPのような不斉2座リン配位子を有するカチオン性2価パラジウム錯体を触媒として用いることにより、活性化されていない1,3-ジエンとジエノフィルとの不斉Diels-Alder反応が、高立体選択的に進行することを新たに見出した。 (3) カチオン性2価パラジウム錯体を触媒として用いることにより、ノルボルネン、ビシクロオクテンなどの高いひずみを有するオレフィンと一酸化炭素が、2:2あるいは3:3のモル比で反応し、6員環ラクトン類が生成するという新反応を見出した。 2. ロジウム錯体を用いる反応 (1) ロジウム(I)ホスフィン錯体を触媒とすることにより、tetraphnylstannaneを用いると2-phenylpyridineのベンゼン環のオルト位が位置選択的にフェニル化されることを新たに見出した。
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