• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1996 年度 実績報告書

多中心金属反応場での特異な有機合成反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 08455422
研究種目

基盤研究(B)

研究機関東京大学

研究代表者

干鯛 眞信  東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60011011)

研究分担者 石井 洋一  東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (40193263)
溝部 裕司  東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (40175609)
キーワードキュバン型クラスター / チオラート架橋二核錯体 / パラジウム / ルテニウム / ロジウム / ラクトン化 / アリル化 / ヒドロシリル化
研究概要

遷移金属クラスターは複数の金属中心を持つため、単核錯体にはない多くの特徴を持ち、それらに基づく高度な触媒活性も期待できる。本研究では高い触媒活性を示す混合金属キュバン型クラスター錯体の分子設計、合成、機能開発を目的として以下の検討を行った。
まず、すでに合成に成功している[PdMo_3S_4Cl(tacn)_3][PF_6]_3(1,tacn=1,4,7-triazacyclononane)を触媒として用い、ω-アルキン酸の分子内環化を検討した。その結果、クラスター1はアセトニトリル中での2,2-ジメチル-5-ヘキシン酸の環化では単核錯体PdCl_2(PhCN)_2の17倍という高活性で対応するδ-ラクトンを与えた。さらに、4-ペンチン酸の環化によるγ-ラクトンの生成ではではターンオーバー数は100000に達した。これらの反応では1のキュバン骨格が保たれていることも確認された。今回見出した高度な活性は、パラジウムが4面体構造を取りつつキュバン型クラスターに取り込まれた1の特異な構造に基づくもので、極めて興味深い。また、クラスター1は水溶性でかつ水に安定であり、ω-アルキン酸の環化反応を水を溶媒として行うこともできた。金属錯体を用いた均一系触媒反応は通例有機溶媒を必要とし、この点が工業上の制約となっているが、本反応が水中でも行えることは工業化学的に意義深い。一方、チオラート架橋を有する複核ルテニウム、ロジウム錯体の触媒反応性についても検討を加え、[Cp^*RuCl(SPr^i)_2Ru(OH_2)Cp^*[OTf]が芳香族化合物のアリルハライドまたはアリルアルコールを用いたアリル化に対して高い触媒活性を持つこと、[Cp^*Rh(SPr^i)_2RhCp^*]触媒によるα,β-不飽和アルデヒド、ケトンのヒドロシリル化ではZ-シリルエノールエーテルが選択的に合成できることが判明した。これらの反応は従来の単核錯体触媒ではほとんど行えない反応であり、複核金属錯体の特異な反応サイトの特徴が現れていると言える

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] T.Wakabayashi: "A Novel Cluster Catalyst with a Cuboidal PdMo_3S_4 Core for the Cyclization of Alkynoic Acids to Enol Lactones" Angew,Chem,Int.Ed.Engl.34. 2123-2124 (1996)

URL: 

公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi