研究概要 |
1.2,4,6-トリメトキシフェニルリチウムΦ'Li[Φ7'=2,4,6-(MeO)_3C_6H_2]とジフェニル炭酸あるいはギ酸メチルの反応でトリス(2,4,6-トリメトキシフェニル)メタノールΦ'_3COH1およびビス(2,4,6-トリメトキシフェニル)メタノールΦ'_2CHOH2を合成した。1は2-プロパノール中で少過剰の過塩素酸と反応してトリアリールカルベニウム塩[Φ'_3C]X3(X=ClO_4)の暗紫色結晶を生じた。この塩は熱エタノール中でも安定である。1は1M塩酸に溶解し3(X=Cl)の溶液を生じる。この溶液を1M水酸化ナトリウムで中和すると1を再生するのではなく4-ビス(2,4,6-トリメトキシフェニル)メチレン-3,5-ジメトキシ-2,5-シクロヘキサジエノンを生じた。2もメタノール中で少過剰の過塩素酸と反応してジアリールカルベニウム塩[Φ'_2CH]X4(X=ClO_4)の暗赤色結晶を生じた。3は熱メタノール中でもかなり安定に存在するが,1級および2級アルコール中ではビス(2,4,6-トリメトキシ)メタンΦ'_2CH_2に還元された。他方,3の1M塩酸溶液を加熱するとトリアリールメタンΦ'_3CHを生じた。これは4のΦ'-C結合が加水分解されて1,3,5-トリメトキシベンゼンΦ'-Hを生じ,これが4と反応して生じたものであることが判った。 2.トリアリール金属MAr_3(M=As,Sb,Bi)の新しい合成法を開発した。本法は,金属酸化物を出発原料とした2段階反応からなる。まず,金属酸化物を酸触媒の存在で2,6-ジメトキシベンゼンチオールΦSH[Φ=2,6-(MeO)_2C_6H_3]と反応させて金属チオラートM(SΦ)_3に導く。ついでこの金属チオラートM(SΦ)_3を有機リチウム試薬LiArと反応させることによりトリアリール金属MAr_3に導く。副生するリチウムチオラートLiSΦは水溶性であるので水中へ抽出分離し,酸を加えると2,6-ジメトキシベンゼンチオールΦSHが結晶として再生され,再使用することができる。2,6-ジメトキシベンゼンチオールΦSHも金属チオラートM(SΦ)_3も共に無臭で空気中で安定な結晶性化合物であるので取扱が容易である。
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