研究課題/領域番号 |
08455432
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小澤 文幸 大阪市立大学, 工学部, 教授 (40134837)
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研究分担者 |
丸山 洋一郎 大阪市立大学, 工学部, 助手 (30257216)
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キーワード | トリス(ピラゾリル)ボレート / アルキルルテニウム錯体 / (π-アリル)ロジウム錯体 / アセチレン重合触媒 / メタセシス重合触媒 |
研究概要 |
1 Tp配位ロジウム錯体触媒によるフェニルアセチレン類の立体規則性の重合 初年度の研究において、Tp配位ロジウム錯体がフェニルアセチレンの重合に対して高い触媒活性を示し、高い立体規則性を持つポリ(フェニルアセチレン)が生成することを見出した。本年度はピラゾール上の置換基、および錯体上のジエン配位子の異なる一連の錯体を合成し、それらの触媒活性を比較検討した。その結果溶液中で一つのピラゾール基が金属中心より解離する度合いが、触媒活性を支配する一つの要因であることが明かとなった。 2 Tp配位ルテニウムビニリデン錯体を触媒前駆体とするノルボルネン類の開環メタセシス重合 種々のルテニウムビニリデン錯体を触媒前駆体とするノルボルネン類の開環メタセシス重合を検討した結果、Tpの配位した錯体が、類似のCp配位錯体よりも良好な触媒活性を示した。また、触媒前駆体発生の際に用いる末端アルキンを変化させ、種々の末端官能基化ポリマーを合成することにも成功した。 3 Tp配位π-アリルロジウム錯体の合成と反応 初年度の研究において、TpRh(coe)(MeCN)への臭化アリルの酸化的付加反応によってTpRh(π-allyl)Br錯体を容易に合成できること、またこの錯体がLiBHEt_3との反応によりヒドリド錯体TpRh(π-allyl)Hへと還元されることを見出した。本年度の研究では、重水素化されたLiBDEt_3を用いて、反応機構を詳細に調べた。その結果この反応では、ヒドリドがまずπ-アリル基の中央炭素を求核攻撃し、続いてこの際に生成したルテナシクロブタン錯体から、β-水素脱離によってTpRh(π-allyl)H錯体が生成するという興味深い機構で進行していることが明らかとなった。またTpRh(π-allyl)Hが種々の有機ハロゲン化物(R-X)と反応し、再びハロ錯体TpRh(π-allyl)Xに変換されることがわかった。反応機構を解析した結果、この反応はsolvent cage内でのラジカル反応であると結論された。
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