研究課題/領域番号 |
08455434
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
国府田 悦男 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (40124648)
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研究分担者 |
平田 光男 日本大学, 生産工学部, 教授 (00059768)
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キーワード | タンパク質 / 高分子電解質 / 水溶性高分子 / ポリエチレングリコール / レーザー光散乱 / 電気泳動光散乱 / 複合体形成機構 |
研究概要 |
本研究では、アミノ酸配列(一次構造)と高次構造が既知である酵素をタンパク質試料として、広いイオン強度下で高分子電解質-酵素系複合体を形成させ、レーザー光散乱法とバイオアッセイ(酵素活性の測定)法を組み合わせて、“分子内複合体の構造"を明らかにすることを目的とする。具体的には、(1)主としてライソザイム(lysozyme)を使用し、イオン強度、pH、高分子電解質の種類、高分子電解質と酵素水溶液の濃度、両水溶液の混合割合と混合方法を変化させて、複合体の形成過程を光散乱法により検討する。さらに、(2)この過程で得られる複合体の酵素活性を、合成低分子糖、オリゴ及び高分子糖、菌体細胞を基質として詳細に検討し、ポリイオン鎖に結合した酵素分子の状態を評価する。特に、生物工学的興味から、(3)複合体の貯蔵安定性に関しても詳しく検討を行う。さらに、光散乱法による複合体形成に関する研究と高分子電解質複合体の酵素活性測定から、他の酵素系に対して行う実験の計画と予備検討を行う。すなわち、生体系では複数の酵素が関与して代謝系を構成しているが、等電位点や分子量が異なる酵素分子を一本のポリイオン鎖に結合させて複合体を作り、光散乱法と触媒活性測定法を組み合わせて、分子内複合体の構造を研究する。本年度は、平成9年度に実施した実験の再現性の確認と複合体の保存安定性の検討を行った。その結果、人血清アルブミンとポリエチレングリコールを用いた実験系で、分子内複合体の形成が形成される明確な実験結果が得られ、その形成機構は分子論的に説明できることが分かった。この系は、複合体の保存安定性に関する重要な基礎知見を与えるものと期待される。
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