研究概要 |
ポリビニルアルコール(PVA)およびポリウレタン(PU)を幹成分とし、ポリスチレン(PS)-ポリジメチルシロキサン(PDMS)ブロック共重合体を枝成分とする3成分グラフト共重合体を合成した。n-ブチルリチウムを開始剤に用いて、スチレン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D_3)の順でリビングブロック共重合を行い、ビニルクロロシランおよび保護されたジオールを有するクロロシラン誘導体でエンドキャッピングすることにより、PDMS末端に重合性官能基(ビニルシラン基、ジオール基)を有するPS-PDMSブロック共重合体マクロモノマーを得た。このようにして、5,000から7,000程度の分子量を有し、3割から7割程度の範囲に渡ってPSを含有する数種類のブロック共重合体マクロモノマーをそれぞれ酢酸ビニルとの共重合およびケン化反応、またはジイソシアナ-トとの重付加およびブタンジオールとの鎖連結された3成分グラフト共重合体を得た。これらの3成分共重合体は当初の設計通り、最も表面エネルギーの低いPDMS成分がPVAまたはPUとPS成分との間に配置されており、これにより3成分の幾何学的配置と表面エネルギーの順序を相反させることに成功した。加えて、各成分のグラフト密度、鎖長などの一次化学構造パラメーターを広範に変化させた種々の3成分グラフト共重合体の合成に成功した。今後は合成した3成分グラフト共重合体によって構築されると考えられる非平衡表面の環境応答挙動などの動的特性に対し体系的な評価を試みる。
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