ジシロキサン、オリゴシロキサン、ポリシロキサンを有する各種モノマーの合成法を確立し、それらの重合により様々なシロキサン結合を含むポリマーの合成に成功した。これらのポリマーにおける側鎖シロキサン部位の分子運動性について、固体^<29>Si NMRを用る解析法を開発し、スピン-格子、スピン-スピン緩和を測定することにより、側鎖シロキサン結合部の珪素原子の運動性、ひいてはポリマーの分子運動性の評価も可能にした。 立体規則性あるいは光学活性珪素含有ポリマーの合成法の確立および生成ポリマーの立体構造の評価方法に関する研究についても検討した。光学活性なメンチルオキシシランを出発原料として、光学活性アリルシランおよびビニルシロキサンモノマーを合成し、それらの重付加反応により、それぞれのモノマーの光学純度をよく反映したアイソタクチックポリカルボシランあるいはアイソタクチックかつ光学活性ポリカルボシロキサンの合成に成功した。これらのポリマーのタクチシチーは、^1Hあるいは^<13>C NMRを用いることによって解析できることを明らかにした。さらに、後者の重合時に副生する環状カルボシロキサンのアニオン開環重合を行うと、重付加よりもより高分子量なポリカルボシロキサンを得ることができ、末端基の効果の無視できるアイソタクチックかつ光学活性ポリカルボシロキサンの合成に成功した。 また、光学活性クロロシランと光学活性シラノレートとの反応により光学活性ジシロキサンを合成する方法も確立し、その光学純度についても光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーを用いて解析できることを明らかにした。
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