研究課題/領域番号 |
08455447
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 直樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40142202)
|
研究分担者 |
引地 邦男 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30000805)
|
キーワード | 蛍光標識DNA分子 / T4 phage DNA / グロビユ-ル状態 / 流動複屈折 / ストップドフロー / 回転拡散係数 / 継横比 |
研究概要 |
1.DNA分子への蛍光標識及び分子マニピュレーションの観測 蛍光標識による単分子可視化と分子マニピュレーションの観測のため、DNA分子のコイル・グロビュール転移を調べた。DNA分子としてはT4 phageDNAを用いた。試料はシグマ社から購入した。標識物質にはdiamino phenil indolを用い、退色を防ぐためメルカプトエタノールを添加した。種々の塩濃度の水溶液中で、ポリエチレングリコール濃度を変化させて、DNA分子の大きさを測定した。この測定はARGUS-20の機能を利用した。同じ溶液を用いた流動複屈折実験では、塩濃度を小さくすると、転移の鋭さが減じたが、蛍光標識したDNAの直接観察では対応する塩濃度変化は見られなかった。これは、グロビュール状態のDNA分子(G-DNA)が流れによって変形するか、分子は硬いが球形から大きく外れた形をしているという2つの可能性が考えられた。 2.蛍光標識DNA分子のマニピュレーションと高分子動力学実験・解析 上の実験で提案された、G-DNAの存在形態に関する2つの可能性を判別するため、蛍光標識DNA分子のストップドフローによる緩和実験を行った。直接観察では流れによる変形は観測できなかった。蛍光顕微鏡で観測されるG-DNAはサブミクロンオーダーの輝点に見えるが、実際はもっと小さく、もし変形があったとしても、それが分子伸長にいたる程の大きなものでないかぎり、この方法による直接観測はできない可能性がある。同じ溶液を用いた流動複屈折実験を行い、複屈折強度の減衰から溶液中の分子の回転拡散係数Drを測定した。Drの値が一つに決まったことから、(1)分子が剛体と見なせること、(2)Drの値から求めた分子の縦横比(短軸/長軸)が0.7となったことから、G-DNAは硬く細長い形をしていることが結論された。
|