研究課題/領域番号 |
08455447
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
高分子構造物性(含繊維)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 直樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40142202)
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研究分担者 |
引地 邦男 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30000805)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 伸長流動場 / 流動複屈折 / フォーロールミル / コイル・ストレッチ転移 / コイル・グロビュール転移 / 蛍光顕微鏡 / 複屈折を示すグロビュール分子 / 高分子電解質 |
研究概要 |
流れの場によって流体中の高分子の変形を引き起こす場合、伸長流動場の方が剪断流動場よりも効果的である。屈曲性高分子では、伸長流動場によって、ランダムコイル状分子を、転移的に伸びきり状態にまで変形できることが知られ、この現象はコイル・ストレッチ転移(CST)として定式化されている。我々は種々の条件下でCSTを調べ、高分子鎖のマニピュレーション(構造制御・操作)を試みた。伸長流動場を、フォーロールミルによって発生し、CSTは流動複屈折によりモニターした。 (1) CSTを利用した高分子鎖のコイル・グロビール転移観測を行った。ランダムコイル状態の高分子鎖はCSTを起こすが、分子内凝集しているグロビュール状分子は凝集力が大きくCSTは起こりにくい。これから、CSTに伴う流動複屈折を観測することで、コイル・グロビュール転移の観測が可能と思われる。高分子としてファージDNA分子を用い、水・ポリエチレングリコール(PEG)溶媒の組成を変えてコイル・グロビュール転移を起こした、伸長流動複屈折によりモニターしたところ、蛍光顕微鏡により直接観測したDNA分子鎖の広がりの変化と対応する結果が得られ、この可能性が確かめられた。また、流動複屈折と光学顕微鏡観測の比較から、添加塩により複屈折を示すグロビュール分子を見出した。流動停止後の複屈折緩和の測定により、このグロビュール分子は光学的異方性を持った回転楕円体であることが確認された。 (2) 高分子電解質は添加塩により屈曲性が変化する。屈曲性は分子マニピュレーションに大きく影響する。ここではCSTを利用して屈曲性変化の定量化を試みた。高分子電解質としてファージDNA分子を用いた。水溶液に、NaClを添加し、流動複屈折を観測した。CSTを起こす歪速度は塩濃度に対して線形に増加した。これからDNA分子は添加されたナトリウムイオンにより、鎖全体にわたってほぼ一様に中和されることが推測された。 流動場による構造転移の制御について、現在の装置で発生可能な歪速度では流動場によって転移点を変えるなどの操作は出来ていない。今後、より大きな歪速度での測定ができるように装置を改良し実験を続けたい。
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