本研究では、頭尾の識別された全芳香族ポリエステルをヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸をベースに種々合成し、そのサーモトロピック液晶特性及び液晶構造を調べ、以下の点を明らかにした。 (1)SHG活性であるか否かを検討し、極性構造の有無について確認した結果、重合度が30〜40以上のポリエステルのネマチック液晶が、極性構造を有することが明らかにされた。 (2)SHG強度の偏光子角依存性を調べた結果、Csの対称性を有する極性ネマチック相であることが判明した。これは、分子軸方位のみならず、それに垂直な方位にもダイレクターが存在し、また同時に極性も存在する特異な構造であることを示す。 (3)メタ・ヒドロキシ安息香酸の導入(〜5%程度)で、Csの対称性からCrovの対称性に変換することがわかった。これはメタ体によるキンク構造をネマチック液晶場に収容するには、分子軸に垂直方位の極性をキャンセルせざるを得ないという解析結果と一致するものである。
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