ポリアミド/ポリオレフィンブレンドのトライボロジー(摩擦・摩耗)特性を評価し、その発現機構について検討した。ポリアミドとポリオレフィンとは非相溶であり、これらのブレンドは多量成分に少量成分の粒子が包埋された典型的な海島構造を示す。ポリアミド/高密度ポリエチレンブレンドでは、ブレンド組成、相溶化剤の添加、およびポリアミドの結晶構造による機械的性質の変化がトライボロジー特性に反映し、ブレンドの摩擦係数はポリアミドの値から高密度ポリエチレンの値まで単調に変化することが明らかとなった。一方、ポリアミド/低密度ポリエチレンブレンドおよびポリアミド/ポリプロピレンブレンドではモルフォロジーや機械的性質の変化に関わらず両成分ポリマーの値より非常に低い摩擦係数を示し、これが低密度ポリエチレンおよびポリプロピレンの摩耗粉による作用であることが明らかとなった。また、どのブレンド系でもポリアミドが少量成分である場合は、脱落した堅いポリアミド島成分(粒子)が大きい場合には真実接触面積の低減のために摩擦係数は低下するが、相溶化によりポリアミド粒子が微細化するとその粒子が研磨剤として作用するために摩擦係数と摩耗速度が上昇することも明らかとなった。
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