研究概要 |
超高弾性率ポリマーとして注目されている芳香族系剛直ポリマーの性能を、今以上に優れたものにするためには、「構造」と「相互作用」の信頼のおけるデータを集積し、力学物性との具体的な関わりを分子レベルから明らかにすることが必要である。我々は、次の3つの項目を行った。 (1)現在世の中に登場している種々の芳香族系剛直ポリマーについて、その詳細な構造を明らかにするために、我々は、X線回折データを集め、計算機シミュレーションと組み合わせて構造解析を行った。具体的には、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾールなどの世界最強の繊維を対象に、その構造解析を実行した。 (2)芳香族系剛直ポリマーについての情報を得るためのもう一つのアプローチとして、一連の芳香族系剛直ポリマーのモデル化合物を合成し、単結晶を得、詳細な構造解析を行った。具体的には、上で述べたポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾールやポリ-p-フェニレンベンゾビスチアゾールのモデル化合物について構造解析に成功した。また、ポリ-m-フェニレンイソフタルアミドの様々のモデル化合物についても構造解析を行った。 (3)一連の芳香族系剛直ポリマーのモデル化合物は合成時に混合物として得られる。これらを成分毎に分けるために,超臨界流体クロマトグラフ装置を導入した。そして,可視紫外線波長領域に吸収のない物質に対しても分離抽出が可能なように,検出器としてフーリエ変換型赤外装置を可視紫外分光器と並列して使用した。
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