研究概要 |
まず、推進仕事に有効に活用できるエネルギーの発生と損失の評価法を確立するため、推力表示式に現れる形で損失を表す運動エネルギー効率と熱発生を表す燃焼効率を結びつけた燃焼器性能パラメータを導入した。実験データから同パラメータを求めた。2つの燃焼器の8種類の燃料噴射パターンで得られた既存の燃焼実験データから燃焼器性能パラメータを求め、噴射パターン、燃焼器長さ、ノズル部での反応凍結等の影響を明らかにした。その結果、最適燃焼器長さは燃焼効率のみで判定した場合に比べ半分以下になること、推力計算に必要な大気条件の与える際に実験で使用した燃焼加熱空気ではなく純空気を仮定すると性能評価に大きな誤差が生じる可能性があること等が分かった。 次に、渦と衝撃波が干渉する流れ場の代表例として、ノズル亜音速部で旋回をかけることにより噴流自身に主流方向渦を導入した非適正膨張状態の圧縮性旋回噴流の混合の促進状況を実験的に調べた。ノズル出口マッハ数0.3,1.0,2.0の旋回なしの室温空気の噴流を、非適正膨張状態で静止大気あるいは高温亜音速空気流中に噴出した場合、従来の等エントロピ膨張を仮定するのではなく噴流の推力を一定に保って周囲圧力まで膨張させた状態の諸量を有効基準値として用いれば、混合の進行状態は適正膨張状態の噴流と同様に整理できることが分かった。ノズル亜音速部に2種類の旋回羽根を取り付けスワール数を0.23までの範囲で変化させた圧縮性旋回噴流を静止大気中に噴出した場合、スワール数の増加により混合は僅かに促進されること、渦と衝撃波が干渉する非適正膨張状態の旋回噴流は、適正膨張状態に比べてポテンシャル・コア領域が短縮するが発達領域では混合はむしろ緩やかになることが分かった。さらに、2つの超音速噴流を平行に噴射した場合に旋回が混合に及ぼす影響を可視化により調べた。2つの噴流が合体し始める領域で旋回による混合促進効果が著しいこと、2つの噴流の旋回方向が逆の場合より同一の場合の方が混合が促進されることが分かった。
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