研究概要 |
高速気流中にステップを設け、その後流に円形の噴出口より水素-窒素混合気を噴出することにより形成される拡散火炎の保炎について実験的に検討を加えた。ステップ高さ(h=10-50mm)、ステップから燃料噴出口までの距離(1_f=20-200mm),燃料噴出速度(V_f=5-15m/s),燃料噴射角(θ=30°-90°),主流空気流速U_o=30-50m/s)を変え、火炎安定限界及びLDVを用いて流れ場の流速分布を測定した。その結果以下の結論を得た。 (1)LDVによる測定結果から、ステップ高さとステップから再付着点までの距離の比、1_r/hはステップ高さによらず、ほぼ一定(=5.5)である事が分かった。このことは、ステップ高さとステップから再付着点までの距離が比例関係にあることを示している。 (2)火炎安定限界における燃焼の存在は、再付着点までの距離及び再循環領域内の速度分布を顕著には変化させない。これは、安定限界近くでは燃料濃度が最も小さくなり、従って発生熱量が小さくなるためである。従って、火炎安定条件は、未燃時の再循環流の特性に基づいて検討することが可能であると考えられる。 (3)再循環領域内に燃料を斜めに噴出した場合、火炎の安定性に及ぼす噴射角の影響の程度は、噴出速度や噴出口までの距離に依存する。燃料噴出口が比較的ステップに近い場合、噴出角を小さくすると、火炎の安定性は燃料の噴出速度に影響されなくなる。すなわち、燃料を再循環流と対向して噴出させることにより、安定性に対する燃料噴出速度の依存性を弱めることができる。一方、燃料噴出口が再付着点に近づくと、再循環流速及び乱れが大きくなるため、燃料噴射角や燃料噴出速度の影響が明白ではなくなる。 (4)火炎安定条件は拡散火炎基部での予混合火炎セグメントの存在を考えることにより検討することができる。そのセグメントでの乱流燃焼速度と局所的な流速のつりあいに着目して提案した有効当量比Φ^*に基いて、火炎の安定化条件を燃料噴出位置により次に示すように大別することができた。再循環流が速く乱れ強さが大きい領域では、噴出された燃料と再循環領域に流入する空気流から算出される燃料濃度が火炎安定限界時には燃料過濃状態となるが、一方、再循環流が遅く乱れ強さが小さい領域では燃料希薄条件となる。
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