ヱアロブレーキ衛星の超高速空力特性シミュレータの開発を行った。シミュレーション法として、Monte Car1o直接シミュレーション法(DSMC)を用いることとし、この方法を用いた超並列計算機によるシミュレータの可能性を検討した。その結果、専用の処理システムをハードウェアとして構築する可能性を見いだし、そのような処理システムの概念設計を行った。この処理系は演算をパイプライン方式で行い、さらに、並列化可能なものとして設計された。そのため、CPUの代わりにDPU(Distributed Processing Unit)となっている。概念設計に基づき処理系1ユニットの試作を行い、所期の機能を持つことを確認し、概念設計の妥当性を確認した。試作品ながらも20Mhzのクロックで作動し、約0.6GFLOPSの演算速度を有している。このユニットを複数台並列で動作させることにより、さらに演算速度を高めることが可能である。1ユニットの演算速度は、原理的にクロックの速度と共に向上する。現状の製法によっても、1000ユニット程度を並列化することにより、数Tfloops程度の超並列計算システムが可能である。また、1ユニットをIC化することにより、極めて高速動作化することが可能であり、また、並列度の多重化を容易になる。 また、派生的成果であるが、このような高速処理系は、他の流体シミュレーションスキーム(LBE法)にも応用可能であることが判明しており、概念設計が行われた。これにより、広く一般の流体シミュレーションも従来にない超高速のシミュレーションシステムが可能となろうとしている。
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