研究概要 |
当初の計画に従い、平成8年度に構築した、伝播中の疲労き裂先端における歪み変化(1Cycleにおける荷重(P)-歪み(ε')ヒステリシスカ-フ)を従来にない高精度で、かつ自動的(データ取得に際し試験速度を落とす必要がない)に測定し得る実験システムを用いて、計画したシリーズ試験に従い、疲労き裂先端歪み変化の詳細観察を行った。 疲労試験は、主に定振幅並びに過大荷重挿入の負荷条件下においてシリーズ試験を行い、その他、船舶がその航行中に遭遇する波浪荷重を模擬した嵐モデルブロック荷重を用いての、多段多重変動荷重下における荷重条件下での追加試験を行った。 また、過去の文献,従来データの収集,整理並びに、疲労き裂伝播メカニズムとりわけ、伝播中の疲労き裂におけるき裂開閉口挙動並びに疲労き裂伝播速度を律するパラメータに関する現状の研究動向とその問題点の把握により、今回構築した実験システムにより取得可能になった、伝播中の疲労き裂先端における歪み変化の従来にない高精度測定データから、疲労き裂伝播メカニズム解明へ向けての有用な知見を引き出す為の効果的な解析手法についての検討を行った結果、新たな解析手法によるコンプライアンス(dε'/dp)及びコンプライアンス変化率(d^2ε'/dp^2)の1Cycleにおける変化曲線の導入により、疲労き裂の開閉口挙動に関して、き裂閉口荷重とRPG(Re.tensile Plastic zone's Generated)荷重の自動計測に成功し、又疲労き裂伝播速度を律するパラメータに関して、ΔK_<RP>のΔK_<op>やΔK_<cl>に対する優位性を示す事に成功した。
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