昨年の基礎実験を基に、本年は実際に装置を作製し、表面間力を電界印加、無印加において測定した。 従来のSFA(surface force apparatua)は溶媒が光透過性を有するものという制限があり、また、電界印加による表面間力を観察できなかった。本研究では圧電素子による変位量をあらかじめ光干渉縞で測定しておき、表面間の接触点を電気抵抗から求め、表面間の相互作用力を天秤で測定する装置を試作した。距離の制度は数nmであり圧電素子の電圧で調整できる。 測定にはまず、フェニルシリコーンオイルを溶媒として半球表面と真鍮板表面の間に入れて電界印加、無印加での表面間力を測定した。電界を作用させない場合、両表面間の接近に伴い、単調に反発力が増加した。1.5Vの直流電圧を印加した場合、表面間距離200nm以下の領域において反発力の低下が生じ、相互作用力に極小部が現れた。電界印加により反発力に加えて新たな吸引力が生じることが明らかとなった。フェニルシリコーンオイルの分子が電界方向にクラスターを生じたためと考えられる。 また、この溶媒中に厚さ5〜10nm程度のスメクタイト粒子を分散させた流体に電界を作用させた相互作用力も測定した。
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