研究課題/領域番号 |
08455484
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
六川 修一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50183710)
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研究分担者 |
松島 潤 東京大学, 工学部附属総合試験所, 助手 (70282499)
藤永 好宣 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40010988)
加藤 俶史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50010989)
藤田 和男 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40272398)
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キーワード | 坑井利用探査技術 / 高精度探査法 / 雑音除去・分離技術 / Tau-p変換 / 水圧入試験 / 貯留層モデルリング / 熱流体解析 |
研究概要 |
地下構造、地熱鉱床の坑井を利用した高精度探査技術に関し、地震探査法データおよび高温岩体地域の水圧入試験データを対象に研究を行った。 1.地震探査法で最も基本となる地震探査データの信号と雑音の分離に関して、Tau-P領域での分離手法について検討を行った。はじめに通常用いられるF-K領域でのフィルタリングを、室内模型実験データ、並びに実際の陸上、海上における野外データに適用し、次いでTau-P領域での分離手法の適用を試み、従来の手法との比較から、その有効性について評価、検討を行った。その結果、Tau-P領域では、コヒーレントなイベントが独立に強調され、F-K領域より信号と雑音との分離が容易で、特に海上のデータには大変効果のある分離手法であることが判明した。問題点としては、エリアジングや波形変化が起こりやすいため、安定条件式に十分留意して処理する必要があり、今後の研究の展開としては、Tau-P領域とF-K領域を併用した分離手法技術が考えられる。これによリF-Kフィルタリング及び双曲線速度フィルクリングより簡単に、且つエリアジングの影響を避け、波形情報を損なうことなくS/N比の向上が可能となるものと考えられる。 2.地熱高温岩体地域において水圧入実験に伴う蒸気、熱水生産データをもとに、貯留層内での熱流体の流動、抽熱量の評価を目的とし、熱流体解析ソフトTOUGH2を使用して、高温岩帯地域(山形県大蔵村肘折)の貯留層モデルのシミュレーションを行った。今年度対象としたモデルは、層全体を1つの多孔質媒体と仮定した場合と浸透率や孔隙率の異なるフラクチヤー部とマトリックス部に分けるMINCモデルについても取り扱い、それぞれの評価、検討を行った。その結果、対象とした杭井におけるPTS検層による計測温度とシミュレーションによるフラクチャー部の温度がよく一致し、この地域の貯留層のモデル化の妥当性と各種パラメータの妥当性が検証できた。本年度では生産井における坑底温度のみを対象としたが、今後は圧入・生産ブロックに円筒座標系のモデルを組み込むことにより、坑底圧力データとの比較も行うことが可能になるものと考えられ、より高精度の物性値が求められることになるであろう。
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