研究概要 |
イネの遠縁雑種における配偶子致死遺伝子の分析を行い、そのDNAマーカーを探索し、次の結果を得た。 (1)イネの雌性配偶子致死により雑種不稔をおこす遺伝子座をさらに調査したところ、新しく染色体6のWx寄りと、染色体3のP gi-1の近辺にそのような遺伝子座があることが示唆された。これは中国稲支江に由来する東北地方のモチ品種タツミモチとIR36号の雑種にみられた。今後この付近の雑種不稔遺伝子を確認する。これは、イネゲノム中に雑種不稔遺伝子が広く分布することの新しい証拠である。 (2)インディカとジャポニカの雑種の不稔を支配するS-5座の分子遺伝学的標識を求めるため、IR36とインドネシアのジャポニカ型品種Bantenを用いて、Banten/IR36//IR36のB1F1におけるS-5、C,Amp-3およびEst-2の連鎖群と連鎖するDNAマーカーをAFLPにより探索した。19種のプライマーの組合せを用い、少なくとも5個の近接するDNAマーカーを見出した。 (3)雄性配偶子の雑種不稔による配偶子致死の遺伝子座として、新たに染色体7および12における標識遺伝子、それぞれEst-9とAcp-1の近傍の座を確認し、さらに精査する予定である。この研究により、日印交雑のF1における雑種不稔を解決する中立遺伝子の利用が可能になろう。
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