これまでに世界各地の栽培イネの雑種不稔性に関する遺伝子座の分析を行い、雌性配偶子に関して7個の遺伝子座を同定した。初期の目的通りゲノム中の大部分の関連座位は明らかにした。あと中国南部のインド型品種「団谷早」および「道人橋」などと日本品種の間の明瞭な雑種不稔の座位が、適当な標識遺伝子がないため、不明である。 1.これらの雑種不稔の座位に密接に連鎖する標識の探索は依然困難である。それはRFLPは費用を要し、また稔性の環境変動が大きいためである。昨年度試みたAFLPは制限酵素の認識部位の多形性が小さく適用が困難であった。新たに、多数のRFLP標識が記載されている自殖系統と対比して、多数のRAPDの座位を推定して、標識としての利用を試みている。 2.研究の第二の重点は、雌性配偶子の雑種不稔遺伝子座の分析である。新たに遠縁雑種で低温花粉不稔を起こす座位を第12染色体の下の方に同定した。 3.雌性配偶子の片側不和合性に関して、他のイネ科植物で得られた成果を利用して解明を進めている(未発表のため具体的には触れない)。 4.さらに世界各地の品種の雑種不稔分析のための複交雑材料を作成した。
|