研究概要 |
本年度は,タケアズキ(Vigna umbellata)×アズキ(V. angularis)の雑種集団を用いた連鎖地図の作成と農業形質を支配する遺伝子の位置づけを行うとともに,アズキ在来品種の遺伝的変異を解析し,以下の成果を得た。1.タケアズキ×アズキの種間交雑で得られた86個体のF2集団において,裂莢性,胚軸色,胚軸色の濃淡およびへその突出の有無は単一の主働遺伝子に支配されていることを明らかにし,それぞれの遺伝子をSpu,Psu,IscuおよびChcuと命名した。2.同じF2集団を用いて,61のRFLPおよび95のRAPDマーカーによって,15の連鎖群から成る全長2001.4cMの連鎖地図を作成し,上記のPsu,IscuおよびChcuがそれぞれ第1,第6および第7連鎖群に存在することを明らかにした。3.F2,F3およびF4世代の種子を用いてアズキゾウムシ抵抗性のQTL解析を行い,第1,第3および第5連鎖群に合計4つのQTLを検出した。4.日本,韓国,ブ-タンなど世界各国のアズキ在来品種157系統の種子貯蔵タンパク質における電気泳動パターンを解析し,日本の関東地方以南と以北およびブ-タンの系統群はそれぞれ特異的なパターンを示すこと,韓国の系統群は日本の関東以北のものと同様のパターンを示すことなどを明らかにした。 現在,組換え近交系を用いて農業形質を支配する遺伝子のQTL解析を行うため,タケアズキ×アズキのF5世代54系統(1系統14個体)について,草丈,開花期,種子重などの調査を行うとともに,各系統からDNAを抽出してDNAマーカーによる連鎖地図作成の準備を整えている。また,在来品種の遺伝的変異をさらに詳細に明らかにするため,RAPD分析を行っている。
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