研究概要 |
1. ToMV抵抗性遺伝子に最も近接するDNAマーカーの同定 Tm-1に緊密に連鎖する6つDNAマーカー(SCARマーカー)は準同質系統GCR26(+/+)とGCR237(Tm-2/Tm-2)間の雑種後代で分離しなかったので、それらの位置関係を決定することはできなかった。他の方法として、Lycopersicon hirsutum 4系統LA94、LA386、LA1361およびLA2174を同様に調べた。その結果、DNAマーカーI10_<1000>がTm-1に最も近接していると推定された。同様の方法で、Tm-2に緊密に連鎖する9つのDNAマーカーの位置関係をTm-2またはその対立遺伝子を有するトマト4系統を比較し、N13_<1000>,I13_<1300>,E16_<900>およびG09_<700>の4つのマーカーがTm-2座に最接近していることを推定した。 2. トマト準同質系統における病害抵抗性遺伝子様配列の検索 Tm-1またはTm-2を有する準同質系統の間に、異なる病害抵抗性遺伝子様配列があるかどうかを、既報の種々の病害抵抗性遺伝子配列に基づいて作ったブライマーを用いて増幅させたPCR産物のパターンおよびPCR産物をブローブとしたサザンハイプリダイゼーションパターンによって調べたが、系統間の違いは見出せなかった。しかし、一方では、これらトマト系統に非常に多数の病害抵抗性遺伝子様配列が存在することが分かり、また1つの配列が2つの異なる配列に分化して行く機構が推定できた。 3. 準同質系統間ディファレンシャルディスプレイによる系統特異的cDNA配列の検索 3つのアンカーブライマーと50のランダムブライマーを用い、GCR26(+/+)とGCR236(Tm-2/Tm-2)の間に違いのあるcDNAバンドの単離と配列の決定を行った。その結果、Tm-2をもつ系統に特異的な2つの配列が確認され、ホモロジー検索によって、その一つはxyloglucan endo-transglycolaseと類似の配列をもち、もう一つはプロテインキナーゼの一つとホモロジーをもつことが証明された。
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