研究課題/領域番号 |
08456004
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
育種学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 光 九州大学, 農学部, 教授 (70128031)
|
研究分担者 |
熊丸 敏博 九州大学, 農学部, 助教授 (00284555)
吉村 敦 九州大学, 農学部, 教授 (00182816)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
キーワード | イネ / 胚乳デンプン / アミロペクチン / 突然変異体 / デンプン生合成酵素 / 成分育種 / 遺伝分析 / MNU受精卵処理 |
研究概要 |
マルチマイクロ瞬間測光装置を用いた簡易多検体迅速ヨウ素呈色比色法、並びにSDS-PAGE法、Nafive-PAGE/活性染色法用いた酵素タンパク質レベルでの変異体探索法・検定法、さらに尿素を用いたデンプンの糊化特性の簡易検定法を確立した。本手法を用いて日印数品種に独自に開発したメチルニトロソウレア(MNU)受精卵処理を行って得た後代について調査し、3種の枝切り酵素それぞれにかかわる突然変異体の単離に世界で初めて成功するなど、アミロペクチンの分子量や側鎖の鎖長分布および糊化特性が原品種と著しく異なる多様な変異体の選抜と特性評価に成果を挙げることができた。この結果、(1)コメデンプンの楜化の難易はアミロースではなくアミロペクチンの鎖長構造に依存すること、(2)アミロペクチン短鎖(最外鎖=A鎖)の形成量の差異がデンプンの糊化に大きく影響し、短鎖の減少はデンプンの難楜化をもたらすこと、(3)A鎖の形成には胚乳特異的枝付け酵素(BE-IIb)が関与することを明らかにした。さらに、(4)インド型品種ではBE-IIbの発現量・活性が低下し、それに伴いアミロペクチンの短鎖(A鎖)が減少することを見いだし、日・印品種間で認められる糊化特性の差異は従来提唱されてきた高アミロースに起因するものではなく、アミロペクチンの鎖長構造、即ち短鎖の合成量の差異に起因することを明らかにできた。このことは、当初予想したように枝付け酵素を含むアミロペクチン生合成に係わる遺伝子の改変がコメデンプンの炊飯特性や加工特性の変更に不可欠であることを示しており、今後、コメデンプンの改変にはアミロペクチンに着目して育種を進めることの重要性が強く示唆された。
|