研究概要 |
水稲5品種を圃場にて栽培、生育、収量、稈の挫折抵抗の変化とともに稈、葉鞘をサンプリング。同組織中のヘミセルロース構成多糖類をメチル化分析法により測定した。可能な限りの多収条件下で収量性と稈からの物質移動の間にみられるトレードオフを解析しようとした。また、これまではヘミセルロースとして(1-3,1-4)-β-グルカンのみを対象に遺伝子発現との関連性を解析してきたが実際に(1-3,1-4)-β-グルカンが移動、稈の弱体化の対象となるほど存在するかを定量的に検討することを目的とした。この結果、ヘミセルロースの構成多糖としてはグルカンの量よりもアラビノキシランなどの方が多く、今後はアラビノキシランの転流・移動に関与する遺伝子のほうが稈の強度との関連性を検討する上では重要となるとの知見が得られた。このように、水稲の登熟期の稈からの物質移動の基礎、稈強度の支配機構についての新たな知見が得られた。
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