乾燥、湛水下での異常還元、土壌密度の増加の3要因を根圏へのストレスとして、イネ、トウモロコシに与えた。いずれのストレスも葉身の水ポテンシャルと気孔伝導度の低下およびバイオマス成長、稔実率の抑制などをもたらした。特に土壌密度の増加は土壌乾燥が加わるかどうかにかかわりなく地上部地下部とも著しい抑制をおこした。まず、土壌乾燥については根系を湿潤と乾燥に分けた場合、および土壌乾燥下と湿潤下で葉身のみへ極低温によって水の移動を阻害した場合の葉身水ポテンシャルと気孔伝導度の関係を見たところ、いずれも気孔伝導の低下は葉身水ポテンシャルの低下を伴わなくても起きることがわかった。さらに、湛水条件下での異常還元を起こしたイネでは葉身水ポテンシャルに差がなくても気孔伝導度が低下した。また、高密度土壌下でも十分土壌水分があっても気孔伝導度が低下することがあった。土壌乾燥と異常還元を起こさせた土壌に育てたイネから導管液を採取して、良好な条件下の植物体に与えた所、稔実率の低下や気孔伝導度の抑制が起きた。すなわち、土壌ストレスは葉内水分の低下などの物理的抑制とともに化学的制御経路を通じて制御していることがうらづけられた。現在さらに、これらの制御の定量化、ならびに物質の定量を行いつつある。
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