研究概要 |
計画2年度に当たる平成9年度には,初年度に引き続いて,根系の発育制御を通じて地上部・地下部関係を形態的に制御する方法および土壌水分の不均一な分布が作物の生育および生理に及ぼす影響について検討した. 1.水稲の幼植物に種々の濃度のキトサンを処理した結果,冠根の形成数および冠根上に形成される2次根の密度が高まることを見出した. 2.ダイズ根系の成長可能な土壌領域を変化させうる実験系を用い,生育初期に根群領域を制限すると個体の生長は地上部・地下部共に抑制されるが,その後,根群領域の制限を解除すると生育は急速に回復すること.また,その場合,根系の発育が地上部のそれを上回り,地上部・地上部比の高い個体となることを示した. 3.ダイズ個体に土壌の深部から給水して圃場条件で長時間にわたって生育させると,土壌表面からの潅水によって生育した場合に比して生育が旺盛となり,同化産物の莢への分配が高まることを認めた. 4.ポット条件で土壌の深部から給水する実験を行った結果,7日間の比較的短期間においても主茎の伸長速度が高まることを認め,以上の3と4を通じて,土壌中における根系や水分の不均等な分布が作物の生育を変化させる可能性のあることを示した.
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