研究概要 |
根系機能の効率利用のための基礎的知見を得ることを目的として,以下の成果を得た.すなわち,1.ダイズでは主根基部に形成される数本の長大2次根の総根長が全根系総長の約1/3から半分に達することを示した.また,ダイズでは,十分な養水分供給下であっても,根群の生長可能な土壌領域を制限すると個体の生長は地上部・地下部共に抑制されるが,その後,根群領域の制限を解除すると生育は急速に回復し,しかも葉面積に比して総根長の割合の大きい個体となること,根系の発育量が変化する際には主根基部の長大2次根の発育量の変化が顕著であることを示した.以上,根群領域の制御により植物体の発育を制御しうることを明らかにした.2.ダイズ個体に土壌の深部から給水して圃場条件で長期間生育させると,土壌表面から潅水した場合に比して生育が旺盛となり,同化産物の莢への分配が高まることを認めた.また,ポット条件で土壌の深部から給水すると,7日間の比較的短期間においても主茎の伸長速度が高まることを認めた.以上,土壌中における根系や水分の不均等な分布が作物の生育を変化させる可能性のあることを示した.3.比較的多収であり幼穂形成期以降の根量が多いとされている日印交雑水稲品種では,日本型品種と比べ,幼苗期には,植物体の乾物重増加が大きく,種子根軸は長く伸長するが,T/R比は大きく,地上部の生長が優先する生育特性を示した.ただし,種子根の分枝習性は幼穂形成期と異なり,日本型品種に似ていた.また,その後の生育過程では,日本型品種より,植物体の乾物重増加は一貫して大きく、比較的早期にT/R比が小さくなり,これにやや遅れて総根長が大きくなるが,葉面積・総根長比はむしろ大きいことを示した.以上,日印交雑品種の生育時期,器官による発育の特徴を明らかにした.4.サツマイモ根系形成過程のパイプモデルによる解析法に関する検討を行った.
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