(1)カキ果実を採取後、種々の方法で脱渋し、生成したタンニン粒を取り出し、赤外吸収スペクトルを測定した。結果は、粒の微粉末化が困難なため、KBr層の厚みの影響のほうが強く出て再現性のあるデータが得られなかった。そこで東レリサーチセンターに凍結粉砕法による微粉末化と差スペクトルの測定を依頼したところ、アセトアルデヒドで脱渋した果実タンニンとアルコールや炭酸ガスで脱渋したそれらとは明らかに吸収スペクトルに違いが認められた。現在データを解析中である。 (2)アルデヒド、アルコール、炭酸ガス、24DNPで脱渋したタンニン粒を塩酸メルカプトエタノールで分解、分解物を液体クロマトグラフでODSカラムを用いて分離したところ、アルデヒド脱渋タンニンで多く、アルコール、炭酸ガス脱渋タンニンで少ない微量分解成分を見出した。現在これら成分をNMRスペクトルをとるため単離中である。 (3)京都大学品種保存園より脱渋困難なカキ品種 田倉、葉隠、横野を入手し、ヘタの部分をジャガイモ、タマネギの汁液に一晩浸したのちアルコールで脱渋したところ、無処理果実より著しく早く脱渋した。さらに愛媛県農家より入手したカキ愛宕を用いて同様な実験を繰り返し、似たような結果が得られた。この時はリンゴ、キュウリ、キャベツの汁液も用いたが、これらの汁液にも若干の促進効果が認められた。
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