研究概要 |
(1) 低照度条件がトルコギキョウの花弁着色に及ぼす影響について調査した。植物体全体あるいは茎葉部のみを遮光すると(1,000 1x)花色が薄くなったが、花のみを遮光した場合には花色に影響は見られなかった。花を花柄部で切り離しスクロース溶液に浸漬させた状態で開花させると、スクロース濃度の上昇とともに花弁の色は濃くなり、さらにカルコン合成酵素、カルコン異性化酵素、ジヒドロフラボノール4-還元酵素の遺伝子の発現量が促進された。以上の結果は、低照度環境下では、花への光合成産物の供給不足により花色が低下することを示した。 (2) トルコギキヨウの葉片を、0.05mg/l IBA、1mg/l BA、および0.1mg/l GA3 MS培地で培養すると、葉片あたり8から18本のシュートが発生した。このシュートを、IAAを含むMS培地に7から10日おいた後、0.5mg/IBAを含む1/2倍濃度のMS培地に移植すると約1ヶ月半で発根が確認された。 (3) オオムギのフルクタン合成遺伝子(6-SFT)およびBacilus subtilisのもつSacB遺伝子をpBI121とAgrobacterium tumefaciens LBA4404を用いて、トルコギキョウヘ導入を行った。SacB遺伝子にはサツマイモのスポラミンがもつ液胞移行シグナル配列を連結した。6-SFT遺伝子については、選抜の結果組み換え体は得られなかった。一方、SacB遺伝子については、カナマイシン選抜で32個体が残り、そのうちの15個体に対してPCR及びサザンハイプリダイゼーションによる検定を行ったところ、これらすべてから、レバンスクラーゼ遺伝子が検出され、遺伝子が導入されたことが確認された。 (4) トルコギキョウ外植体は発根とそれ以降の生育が悪く、組み換え体を開花する植物体にまで生育させることはできなかった。フルクタン合成遺伝子の導入の影響を調べるためには、遺伝子導入後の培養条件、順化条件をさらに検討する必要がある。
|