研究課題/領域番号 |
08456019
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉浦 明 京都大学, 農学研究科, 教授 (00026379)
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研究分担者 |
本杉 日野 京都府立大学, 農学部, 講師 (10182172)
米森 敬三 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10111949)
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キーワード | 熱分析 / サーモ・モジュール / 耐霜性 / 萌芽時期 / カキ属 / 水分含量 |
研究概要 |
これまでの研究において、サーモ・モジュールを用いた熱分析法が落葉果樹の冬季休眠期間における耐寒性を評価するのに有効な方法であることを明らかにした。そこで、本年度は萌芽期にしばしば霜害を受けるカキについて品種間および種間での耐霜性を熱分析法で客観的に評価できるかどうかを検討した。その際、萌芽時期の早晩・水分含量と耐霜性との関係を明らかにするとともに、秋季のジベレリン散布によって萌芽を遅延させることによる霜害回避の可能性についても検討した。得られた成果は以下のとおりである。 1)供試したカキ栽培品種5種およびカキ属4種の萌芽時期には相違があったが、耐霜性は萌芽とともに弱くなり、いずれの品種・種においても萌芽直後から約20mm程度芽が伸長した段階までが最も弱い耐寒性を示した。栽培品種では‘豊基高柿'、カキ属ではDiospyros rhombifoliaが強い耐霜性を有し、‘富有'、D.lotus,D.virginianaが弱い耐霜性を示した。圃場での晩霜被害の調査より、カキ‘平核無'は萌芽期に早いために霜害に会う危険性が高く霜に弱いとされてきたが、萌芽期以後の低温耐性はむしろ‘富有'や‘次郎'などよりも高いことを明らかにした。なお、萌芽後に耐霜性が向上してゆく段階で水分含量の低下がみられなかったことから、この段階における耐霜性には水分含量は関係していないのではないかと考えられた。 2)ジベレリン散布により‘平核無'と‘富有'の萌芽時期が遅くなり、両品種ほぼ同時期に萌芽した。そのことにより同じ生長段階で比較をすると‘平核無'のほうが早く低温耐性を得ていることが判明した。 3)以上の結果より、カキの耐霜性を考える場合、萌芽時期とともに、品種・種固有の低温感受性とその期間の長短を考慮すべきであり、サーモ・モジュールを検知器とした熱分析法はこのような耐霜性を客観的に評価する上で有力な手法になると考えられた。
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