研究概要 |
果菜類・葉菜類あわせて8種類の野菜の葉の表と裏に^<45>Caを施与し,24時間後に吸収・転流量を測定した.その結果,いずれの野菜も表より裏からのほうがよく吸収・転流することがわかったが,Caが葉の裏から吸収・転流されやすい程度は,野菜によってかなり異なった. トマトを水耕して,育苗期,第1花房開花期,同果実肥大期,同成熟期にそれぞれ^<45>Caを根から施与し,24時間後に植物体を収穫して部位および器官別に分け,それぞれの^<45>Caを測定した.その結果,開花期および果実肥大期の部位別Ca含量は乾物重の分布と同様であり,いずれも開花期には第1果房の下部が,また第1果房果実肥大期には第1果房が最も高かった.しかし,果実収穫期には乾物重とCaの分布に違いが見られ,乾物重の分布は第1果房が最も高く34%を示したものの,Caの分布は第1果房の下部で低く,第1果房から第5果房まではいずれも19-14%と大差なかった.果実成熟期には,第2果房以下におけるCaの分布は茎で最も高く,次いで葉柄,葉身の順であった.しかし,第3果房より上位では逆の傾向が見られて,葉身が最も高く,次いで葉柄,茎の順となった.果房へのCa分布は第1果房へは極めて少なく(0.04%),第3果房で4.78%と多く,第5果房では0.31%と少なかった. トマト苗を水耕し,3段階のpH(4.5,6.0,7.5)でそれぞれ^<15>Nで標識した硝酸,アンモニウム,尿素を与えて,24時間の吸収と器官別の分布を調査した.その結果,^<15>N含量は硝酸>アンモニウム>尿素の順であった.pH6.0に比べ4.5では尿素,硝酸の吸収が増加し,アンモニウムの吸収は逆に減少した.いずれの窒素源でも,吸収された^<15>Nの約半分は葉柄に分布し,次いで根,茎,葉柄の順に減少した.尿素は吸収量は少ないが,吸収後は硝酸同様速やかに地上部へ送られることが示された.
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