研究課題/領域番号 |
08456027
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
内藤 親彦 神戸大学, 農学部, 教授 (70031226)
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研究分担者 |
高須 啓志 神戸大学, 農学部, 助教授 (50212006)
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キーワード | カブラハバチ / アカスジチュウレンジ / ヒラタヒメバチ / 雄産性単為発生 / 1遺伝子座CSD / 1次性比 / 雌雄産下リズム / 性比変動要因 |
研究概要 |
今年度は植食性のカブラハバチ、アカスジチュウレンジおよび寄生性のヒラタヒメバチの性決定ならびに性配分機構に関する研究を行った。 1. カブラハバチの性配分に影響を与える環境要因を調べるため、奇主植物の量的形質として葉の面積、質的形質として葉の色および水分量をとりあげ、性比変動との関係を調べた。その結果、性比と葉の面積および色との相関性は見られなかったが、葉の水分量の増加に伴って雌比が有意に上昇した。 2. カブラハバチの野外個体群の性比を調べるため、ダイコン畑から幼虫を採集し、室内飼育により蛹化した時点で調査した結果、雌比は約60%とやや雌に片寄っていた。 3. 卵塊産卵するバラの害虫アカスジチュウレンジの卵の胚分裂時の染色体数を調べ、雌(2n)と雄(n)を産卵時点で判別する方法により、一次性比と雌雄産下の順序を調べた。雌比は15℃産卵では約50%、25℃産卵では約70%で、温度上昇に伴い雌比は増加した。また、雌雄の配分には規則性が見られ、雄卵はほぼ等間隔で雌卵と雌卵の間に挿入される形で産下された。卵を個別に産むカブラハバチと異なり、保有卵を一度に産みきるアカスジチュウレンジでは、雌雄産下にリズムをつけることにより、常にほぼ一定の性比を確保する仕組みを獲得していると思われる。 4. ヒラタヒメバチの性決定機構については、1遺伝子座上の性複対立遺伝子によることを予備的実験により推察していたが、今年度の豊富な追加実験によりこのことを明確にした。
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