研究概要 |
1.円形のparasporal inclusionを産出し、鱗翅目昆虫に特異的な殺虫活性を示すBacillus thuringiensisの4菌株(serovar japonensis,serovar sumiyoshiensis,serovar fukuokaensisの各基準菌株およびserovar darmstadiensisの1分離菌株)のδ-内毒素遺伝子の塩基配列を調査したところ、海外では見出されたことのないcry9D遺伝子の配列と一致した。 2.難防除衛生害虫であるオオチョウバエに特異的殺虫活性を有するB.thuringiensis serovar leesisの1分離菌株の性状をしらべた結果,双翅目昆虫に強毒の菌株として知られるB.thuringiensis serovar israelensisとは性状をまったく異にする新規な菌株であることがわかった。 3.双翅目のカ科幼虫(ボウフラ)に選択的殺虫活性を示すB.thuringiensis serovar higoの1菌株からδ-内毒素遺伝子をクローニングした。この遺伝子は分子サイズが78kDaでチカイエカ幼虫に毒性を有する殺虫性タンパク質をコードしており,その塩基配列に基づいて新しいクラスのδ-内毒素,Cry19Bが確立された。 4.鱗翅目害虫であるアメリカシロヒトリの幼虫から分離された微胞子虫Nosema mesniliの1分離株の昆虫培養細胞系における感染・増殖をしらべ,その生活環を明らかにした。また数種昆虫培養細胞系において本微胞子虫の持続感染が成立した。
|