研究概要 |
1. 円形のparasporal inclusionを産生し,鱗翅目幼虫に特異的な殺虫活性を示すBacillus thuringiensisの5菌株(serovar fukuokaensis 3株,serovar sotto 1株,serovar galleriae 1株)のデルタ内毒素遺伝子の塩基配列を調査したところ,すべて同じ配列を有しており,この蛋白質はCry_9に属する新規のデルタ内毒素であることが,明らかとなった。 2. わが国から分離された1713株のB.thuringiensisのコナガ(Plutella xylostella)幼虫に対する殺虫活性をしらべたところ,609株(35.5%)に強い活性が見られた。このうち605株はH血清型1〜10に属していた。serovar kurstakiおよびaizawaiに所属しない5菌株(serovar sumiyoshiensis 2株, serovar fukuokaensis 1株,serovar canadensis 1株,serovar morrisoni 1株)を選んで デルタ内毒素を調べた結果,morrisoniの1菌株を除く残り4菌株すべてがCry9Dを産生することが明らかとなった。 3. 南極大陸のリュツォ-ホルム湾沿岸の土壌および植物からのB.thuringiensisの分離を試みた結果,本菌の分布は確認できなかった。 4. ブラジルの養蚕農家で発生した病蚕から分離された微胞子虫の性状を調査したところ,大型および中型の胞子を形成する分離株はNosema属に同定されたが、N.bombycisとは明らかに異なった。また小型の胞子を形成する分離株は,その諸性状からPleistophora属の微胞子虫であると考えられた。
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