研究概要 |
細菌病抵抗性トランスジェニック植物を創製するための基礎的・応用的研究を行った。 キウイフルーツかいよう病抵抗性植物の作出に関する研究では、インゲンかさ枯病菌のファゼオロトキシン(PHT)非感受性OCTase(argK)遺伝子をキウイフルーツに導入し耐病性を付与することを試みた。argK遺伝子とタバコの葉緑体移行タンパク質遺伝子を融合した融合遺伝子をキウイフルーツに導入し、カナマイシン耐性の約50個体を作出した。これらについて毒素耐性検定を行い、ファゼオロトキシンに対し比較的強い耐性を示した7個体を選抜した。これら個体のOCTase活性について、PHT耐性を400μg/ml濃度で調べたところ、葉細胞および葉緑のいずれの抽出液でも通常植物が約80%阻害されたのに対し、わずか20%程度の阻害であった。このことから、キウイフルーツ植物においてもタバコ由来の移行タンパクが正常に働いて、PHT非感受性OCTaseが葉緑体中に移行されていることが分かった。 イネもみ枯細菌病の毒素生合成関連遺伝子に関する研究では、イネもみ枯細菌病菌の産出する毒素Toxoflavinの生合成能をTnにより欠損後、さらにゲノミックライブラリーより毒素生合成能を回復するコスミド(pNP147)を取得した。さらにサブクローニングにより2.7Kbの相補するDNA断片を得た。そのシークエンスを行った結果,大腸菌のIS2配列と高い相同性を示す配列が検出された。また、欠損株のトランスポゾン挿入部位の周辺領域について調べたところ、本来存在するはずのIS2配列が欠損していることから、Tnの挿入によりIS2が排斥され毒素生合成が欠損したものと考えられた。また、野性株ではこのIS2の存否により毒素生合成が調節されていると考えられた。現在、周辺遺伝子の発現と毒素合成の関係について調べている。
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