核多角体病ウイルスにおける宿主域決定の分子機構解析

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08456035
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 小林 迪弘 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60111837)
• 研究分担者: 池田 素子 名古屋大学, 農学部, 助手 (20262892)
• キーワード: 核多角体病ウイルス / 宿主域 / リコンビナントウイルス

研究概要

Autographa californica NPV (AcNPV)とカイコNPV (BmNPV)は、宿主域を異にする別種のNPVであるにもかかわらず、多くの遺伝子で高い相同性が認められる。AcNPVは従来カイコの培養細胞では増殖しないとされていたが、最近の研究でカイコの培養細胞であるBM-NとBmN-4細胞で出芽ウイルス粒子(BV)を産生することが明らかになった。しかし、AcNPVはカイコの培養細胞では、SF細胞でのBV産生量の1/100程度のBVを産生するのみであり、かつポリヘドリンの発現と多角体の形成を行わない。本研究では、BM-NとSFの両細胞において多角体を形成する、AcNPVを母体とするBmNPVとのリコンビナントNPV (Ac/Bm (Xho) NPV)を作出し、その増殖特性とゲノムの解析を行った。その結果、Ac/Bm (Xho) NPVは、カイコ培養細胞ではBmNPVと、SF細胞ではAcNPVとほぼ同じkineticsでBVを産生することが認められた。また、Ac/Bm (Xho) NPVのゲノムではAcNPVのゲノムのmu4.8-7.35の領域に変化が生じていることが判明した。さらに、Ac/Bm (Xho) NPVにはこの領域において約50bpと約380bpの2つの欠失があり、後者の欠失によりAcNPVのORFの1つが欠落していることが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] Sotoshiro,H.,Ikeda,M and Kobayashi,M: "Comparative analysis of Bmbyx mori (Lepidcptera : Bombycidae) deuiovirus type2 polypeptides synthesized in vivo and in vitro" Appl.Entomol.Zool.31. 154-159 (1996)
• [文献書誌] Sotoshiro,H.,Ikeda,M,and Kobayashi,M: "Identification of a novel virus-specific in vitro translation product in the miagut of the siehworm,Bombyx mori intectealcrth Bu mori oeusevirus type2" J.Sericult.Sci,Jpa.65(in press). (1997)
• [文献書誌] Chaeychomsri,S.,Ikeda,M Kobayashi M: "Regulation of Bombyx mori nuclear polyhedrosis virus DNA polymerase" Appl.Entomol.Zool.32(in press). (1997)