研究課題/領域番号 |
08456037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
土井良 宏 九州大学, 農学部, 教授 (30038210)
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研究分担者 |
伴野 豊 九州大学, 農学部, 助手 (50192711)
河口 豊 九州大学, 農学部, 助教授 (80038306)
藤井 博 九州大学, 農学部, 助教授 (10038268)
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キーワード | カイコ / b-遅れ蚕 / キモトリプシンインヒビター / CI-8塩基配列 / 長胴蚕(Set) / 胚形成 / Np重い型突然変異体E^N / 染色体融合 |
研究概要 |
1.実験動物としての家蚕遺伝子資源の開発と評価 x線照射により形態的には正常で不眠或いは致死に至ることなく発育経過のみが遅延する遅れ蚕突然変異(b-遅れ蚕)を見いだし、その遺伝学的分析を行った。その結果、b-遅蚕は第22連関群に所属しており、orの左側約8.9付近に位置することを明らかにした。 2.個体発生過程における機能高分子の発現と伝達 脂肪体cDNAライブラリーからキモトリプシンインヒビター(CI-8)のcDNAをクローニングし、その全塩基配列を明らかにした。その結果、CI-8はN-末端に16個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを有する375個のアミノ酸から成るタンパク質であった。 3.突然変異体利用による生殖細胞系列の分化と発達 第6と第7体節が伸張した体形をしている長胴蚕(Set)はヘミ接合体は胚子期に致死する。この胚発生に伴う卵黄タンパク質の変動を調べた。この突然変異では卵黄タンパク質の利用が十分に行われず、また胚子形成を見ると、発生中期より肺子の腹部から尾部に至る組織形成に異常が観察された。 4.染色体を用いたin situ hybridization法による連関群と染色体との対応分析 Np重い型突然変異体E^<Np>機能はE複対立遺伝子群に属し、過剰半月紋を生じると共に正常紋を欠く特徴を有する。E^<Np>は孵化歩合の低下と幼虫分離の異常から第6連関群と非相同な染色体間での染色体融合、或いは転座が考えられたが、土井良らは遺伝学的にE^<Np>はT(6;20)E^<Np>であることが明らかとした。このE^<Np>の染色体異常を細胞遺伝学的に確認するために染色体観察を行った。その結果遺伝的事象から異常なT(6;20)E^<Np>とされていたE^<Np>の染色体は第一精母細胞中期で正常な28対の染色体に加え、27対からなる染色体構成のものを認めた、さらに第二精母細胞中期でn=27,28,29が混在することを確認し、Np重い型突然変異体は第6と22染色体とが融合したものであることを細胞学的に証明した。
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