研究概要 |
既に得られているいもち病菌(Magnaporthe grisea)の交配系クロス5307の親株である2107-33とGuy11の病原性レースの検定を行った.検定は,菌を培養して分生子を作らせ,その懸濁液を既に定められているいもち病菌レース検定用のイネ12品種に噴霧接種し,そのイネを人工気象器内で1週間育苗し,形成された病斑の大きさと数をカウントすることにより行った.その結果,2107-33のレース番号は105.0,Guy11は126.4であることが明らかになった.またこの結果から,親株間で異なる反応を示したイネ品種ツユアケおよびK59に対するクロス5307での宿主特異性遺伝子の遺伝解析が可能であると判定された. そこで,クロス5307交配後代でのK59に対する病原性の検定を行った.全後代65株のうち28株について検定を行った.病原性の検定は生物検定であるため,各菌株につき少なくとも2回の試験を行った.その結果,交配後代における分離は,非病原性:病原性=20:8となった.今後は残りの交配後代の病原性検定を行い,K59に対する宿主特異性遺伝子がどのように遺伝していくのかを解明する予定である. 一方,宿主特異性遺伝子付近の遺伝地図を作成するため,親株間で多型を示すプライマーの選択をRAPD(Random Amplified Polymorphic DNAs)法で行った.合計100種類のプライマーを用いて解析した結果,多型を示すプライマーが22種類得られた.今後は多型を示すプライマーをさらに集め,宿主特異性遺伝子の遺伝子座の近傍に位置するマーカーをBulked Segregant Analysis法により選択する予定である.
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