研究概要 |
光合成細菌Rhodobacter sphaeroidesを嫌気的明条件下で培養し、菌体を超音波処理(現有)により破砕し、遠心上清を得、電子伝達体の単離精製を試みた。DMSO還元酵素への電子伝達活性は、従来の活性測定法では本目的に適合しないため新たな方法を開発、確立した。すなわちキャピラリー電気泳動(現有)のMEKC法を利用して、DMSOからDMSO還元酵素で生成されたdimethyl sulfideの生成量を指標にして行った。硫安沈殿、疎水結合クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーで精製を行った。Sephacryl S-300HRによるゲル濾過クロマトグラフィーでは分子量およそ400,000であった。この画分をSDS-PAGEにかけると、分子量約52,000のシングルバンドを示し、本タンパク質が52,000の8量体であると予測した。現在このタンパク質の性質を調査中である。一方、我々はDMSO還元酵素をコードする遺伝子dmsAの配列を決定したが、本遺伝子の周辺の遺伝子解析を行ったところ、dmsAの上流に2つのオープンリーディングフレームdmsB、dmsCが存在することが判明した。これらの遺伝子群はその塩基配列よりdmsAとオペロンを形成していると予想されたのでその全塩基配列の決定を行った。その結果dmsCにヘム結合のコンセンサス配列が5ヶ所存在し、またdmsBからは膜結合性のタンパクであることが予想され、DMSO還元酵素の電子伝達に関与する可能性が示唆された。
|