研究課題/領域番号 |
08456052
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
左右田 健次 関西大学, 工学部, 教授 (30027023)
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研究分担者 |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
老川 典夫 関西大学, 工学部, 講師 (80233005)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | D-アミノ酸トランスアミナーゼ / アラニンラセマーゼ / ペプチドグリカン / グルタミン酸ラセマーゼ / 反応機構 |
研究概要 |
D-アミノ酸は、細胞壁ペプチドグリカンの構成成分として細菌には必須であるが、高等動物ではその生理作用は知られていない。そのため、これらD-アミノ酸の生合成に関連するD-アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(D-AAT)、アラニンラセマーゼ(AlaR)、グルタミン酸ラセマーゼ(GluR)などの特異的阻害剤は、細菌に特異性の高い新規抗生物質として作用しうる。本研究ではこのような阻害剤開発の基礎として、これら酵素の構造と機能の関係について検討した。まず、部位特異的変異により好熱性枯草菌由来のD-AATの活性中心Arg98の役割について検討し、Arg98が基質結合部位であるとともに、D-AAT反応における基質α-ケト酸の阻害効果に関与することを明らかにした。また細菌のD-アラニン生合成に関与するアラニンラセマーゼの反応機構を明らかにするため、X線結晶解析の結果から基質α-水素の引き抜きの触媒基と予想された、補酵素ピリドキサルリン酸(PLP)結合リジン残基(K39)と、PLPを挟んでこれと反対側に位置するチロシン265(Y265A)をそれぞれアラニンに変換した、K39AおよびY265A変異酵素を作製した。K39Aはメチルアミン存在下でラセミ化反応を触媒するが、この際D-アラニンを基質にした場合にのみ基質アイソトープ効果が観察された。野生型AlaRは、D-およびL-アラニンに対して、弱いアミノ基転移活性を示すが、Y265AはL-アラニンに対してのアミノ基転移活性を失った。以上の結果、AlaR反応はK39とY265による複塩基機構によって進行し、それぞれの残基はD-およびL-アラニンからのα-水素引き抜き、および両アミノ酸が生成する際に水素を付加する触媒基であることを明らかにした。本研究ではまた、E.coli由来のGluRのUDP-N-アセチルムラミルL-アラニンによる活性化の機構や、発現調節などについても検討した。
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