研究課題/領域番号 |
08456054
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原島 俊 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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研究分担者 |
向 由起夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60252615)
西沢 正文 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (20218150)
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キーワード | 酵母 / クロマチン / コアプロモータ / メディエーター / 超らせん密度 |
研究概要 |
真核生物遺伝子の転写制御において、転写調節因子と基本転写因子の間の情報伝達因子としての転写メディエーターの重要性が認識されつつある。メディエーターの機能は、多くの場合、in vitroでの相互作用を含む生化学的な手法によって解析されてきた。しかし、そのin vivoでの機能を明きらかにするためには、突然変異株の分離や表現型の解析など遺伝学的な解析が必須である。出芽酵母では約20のメデイエータが同定されており、これらは大きな複合体として存在していることが明らかにされている。申請者らは、これらのメディエータのうち、DNA非結合性のSin4、Gal11、Rgrl、Pgdl subcomplexの機能に興味を持って研究を進めてきた。その理由は、これらのメディエータが基本転写因子との相互作用を介した転写制御への関与だけでなく、変異によるプラスミドの超らせん密度の低下、クロマチンアクセシビリティーの増加などが報告されており、クロマチン高次構造変化への関与が示唆されているからである。本研究では、コアプロモータで転写が上昇する新しい変異株の分離を行い、その遺伝学的解析を行うとともに、コアプロモータ領域のクロマチン構造を解析することにより、i)転写活性化因子と基本転写因子との間の情報伝達因子としてのメディエータの機能と、 )クロマチン高次構造変換体としてのメディエータの機能について知見を得ることを目的とした。まず、PHO84遺伝子のコアプロモータを抑制性酸性ホスファターゼをコードするPHO5遺伝子の構造部に融合したレポータ遺伝子を利用して、その発現が上昇した劣性変異株を102株分離した。相補性試験により8相補群を同定し、rbt(Regulato rof BasalTranscription)と命名した。そのうち2相補群はそれぞれsin4、rgr1変異であった。残りの6相補群のrbt変異株について、コアプロモータ領域のクロマチン構造変化を解析したが、rbt変異株と野生型株とで有意な差は認められなかった。しカル、rbt変異株の中には、幼縛変異株で発現上昇が見られないI!yElやF隙)耐遺伝子の全長プロモータにおいて発現上昇がみられるものも含まれていた。また、既知のメディエータであるssnやssr変異株で知られている増殖の温度感受性、リジンやメチオニン、イノシトールなどの栄養要求性、ガラクトース非資化性などの表現型は見られなかった。これらの結果より、本研究で取得したrbt変異は、メディエータの新しい変異である可能性が示唆された。
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