トウトマイシンの生合成遺伝子のクローニングと解析を行うに当たり、昨年度までにその生産菌であるStreptomyces spiroverticillatusにおけるトウトマイシン生産性の向上化、形質転換時必要とされるプロトプラスト化及びその再生系の確立、さらにPCR法を用いた生合成遺伝子の部分塩基配列の取得を行った。本年度は、放線菌由来ベクターpIJ702を用いた形質転換効率の検討及び、トウトマイシン生合成遺伝子の不活化を行った。 1)形質転換効率の検討:プロトプラスト調製温度及び、保存密度、トランスフォーメーション時におけるプロトプラスト密度、PEG(ポリエチレングリコール)種、濃度及び、温度、さらにトランスフォーメーション時間について検討を行った。 その結果、プロトプラスト調製温度:25℃、保存密度:1×10^8 cells/100ml、トランスフォーメーション時におけるプロトプラスト密度、1×10^7 cells/100ml、PEG(ポリエチレングリコール)種、濃度:PEG1000、終濃度32%、温度:4℃もしくは49℃、トランスフォーメーション時間:0分の条件において、最も高い形質転換効率(4×10^4 transformants/mg DNA)を得ることに成功した。 2)トウトマイシン生合成遺伝子の不活化:トウトマイシン生産菌染色体DNAのSau3A1を用いた部分分解物より、コスミドライブラリーを作成し、PCR法を用いて得られた部分塩基配列をプローブにし、生合成遺伝子の一部をコードすると考えられる断片を得た。本断片をpUC19を用いてサブクローニングを行い、さらに放線菌由来ベクターpIJ702と連結することによりシャトル化を行った。さらに本シャトルベクターをトウトマイシン生産菌に対して形質転換し、プロトプラスト再生法を用いて遺伝子破壊を行い、トウトマイシン非生産株を取得した。 来年度は、genomic Southern hybridizationによる証明、さらには生合成中間体の取得を行う予定である。
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