研究課題/領域番号 |
08456066
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大澤 俊彦 名古屋大学, 農学部, 教授 (00115536)
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研究分担者 |
堀尾 文彦 名古屋大学, 農学部, 助教授 (20165591)
内田 浩二 名古屋大学, 農学部, 助教授 (40203533)
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キーワード | 糖尿病 / 8-ヒドロキシデオキシグアノシン / カルボキメチルリジン / 酸化ストレス / ULET-F / ストレプトゾトシン / グルタチオン |
研究概要 |
本年度は、糖尿病合併症の食品成分による制御の研究を目的に、まず、個体レベルの実験系として、糖尿病誘導剤のSTZ投与のラットを用いてフリーラジカル傷害の解析を行うと共に、遺伝症糖尿病ラットのモデルとして注目を集めているOLET-Fを最近導入することができたので、この系を用いて腎不全の原因としての腎細胞のフリーラジカル傷害、また、糖尿病発症の際に血液中や尿中に排出されるフリーラジカル傷害バイオマーカーの8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)のモノクローナル抗体利用のELISA法での定量・評価をおこなった。その結果、STZ投与の系では、糖尿病の進行と共に酸化ストレスが昂進し、血液や尿中で脂質過酸化反応が促進され、8-OHdGが排出されると共に腎臓ではグルタチオンが減少し、グルタチオンペルオキシダーゼやグルタチオン-S-トランスフェラーゼが誘導された。これらの結果は、糖尿病の合併症の発現には酸化ストレスが誘導されたことを強く示唆する結果であり、現在、自然発症糖尿病のモデルであるOLET-Fを用いた解析が進行中であるので、詳細は次年度に報告する。一方、糖尿病の発症と共に尿中に同様に排出されると推定されている酸化傷害マーカーのカルボキシメチルリジン(CML)についてもポリクローナル抗体の作成に成功し、糖尿病の際に尿中に排出されることを明らかにすると共に、悪玉コレステロールと言われている低密度リポタンパク質(LDL)の過酸化反応でも生成するという新しい知見を得ることができた。糖尿病の合併症としての動脈硬化症も最近注目されてきており、今後、さらに検討を進めて行きたい。 さらに、ペントシジンやクロスリンと呼ばれる生体内メーラード反応最終生成物:Advanced Glycation End Products (AGE)と呼ばれる糖化タンパク質のバイオマーカーについても構造未知の物質が多く存在している。特に、申請者らは、MRXと命名した新しい糖尿病バイオマーカーの構造を明らかにすることができたので、まず、各種食品中の抗酸化ポリフェノールを用いた抑制実験の検討をすすめて行きたい。
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