食品成分の抗アレルギー効果の生体レベルでの発現を検討するため、食餌脂肪と茶ポリフェノール(TP)の同時摂食実験を行った。食餌脂肪では、n-3系のα-リノレン酸に富むエゴマ油が膜リン脂質のアラキドン酸(AA)の減少を通じて腹腔滲出細胞(PEC)のLTB_4放出能を低下させた。TPは食餌脂肪の種類にかかわらずLTB_4放出能を低下させたが、膜リン脂質のAAの割合の低下は誘導しなかった。これちの結果は、n-3系高度不飽和脂肪酸(PUFA)と抗酸化成分の摂食がLTB_4産生能の低下を通じてI型アレノレギ-応答を低減することを示唆する。 n-3系PUFAのLTB_4放出抑制効果は二重結合数の増加とともに強くなり、魚油に豊富なエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が最も強い活性を示すが、IgE産生促進効果もDHAで最も強いことを昨年度明らかにした。これらの作用の生体レベルでの発現を検討するため、EPAあるいはDHAに富む魚油の摂食実験を行い、高EPA魚油が高DHA魚油より効率的にPECのLTB_4放出能の低下を誘導することを明らかにした。食餌脂肪は10%レベルで投与し、高EPA魚油は24%のEPAと10%のDHAを含み、高DHA油は7%のEPAと23%のDHAを含んでいたが、この摂取量では血中IgEレベルの上昇やリンパ球のIgE産生能の増強は起こらなかった。これらの結果は、EPAをかなり大量に摂食してもIgE産生増強効果は発現せず、LTB_4放出能の低下によるアレルギー応答の低減のみが発現することを示唆する。 以上の結果は、n-3系PUFAおよび抗酸化成分の摂食がI型アレルギー応答を低減することを示唆しており、これらの生理活性成分の臨床試験の実施が今後必要である
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